BARRETTE.

V系のライブレポとかセトリとか作品の感想とか色々。

【CD解説/感想】lynch. GALLOWS

更新日:


CD DATA
RELEASE:2014/04/09
BAND:lynch.
TITLE:GALLOWS
TYPE:初回生産分
CONTENTS:OUTER SLEEVE CASE/1CD/1DVD

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GALLOWS 概要

CD仕様

限定盤と通常盤などの複数売りじゃなくて最初からDVD付きの物1タイプしか存在しないアルバム。これはメジャーデビュー以降のオリジナルアルバムではXlll発売時点で唯一1
初回生産分は紙のスリーブケース入り、GALLOWSツアーのバックステージ招待の応募ハガキ封入。初回生産分とそうでないものの違いはスリーブケースがついているかどうかなので間違えないように注意(DVDは必ずついているのでそれで判断しないように)。

  • 紙製スリーブケースのタイトルや裏面の収録曲の文字は書いてあるんじゃなくて型押ししてある。
  • CDのディスクは真っ黒の盤面にGALLOWSとlynch.のロゴが書かれてるだけ、ただし黒い文字で全部書いてあるので同化してしまっていてほとんど読めない(苦笑)
  • DVDは「DEVIL」のMVとメイキング映像収録。鴉とその羽根が舞っているようなデザインの盤面に同じく黒い文字でGALLOWSとlynch.のロゴ。こっちはまだ部分的に読める。

アルバムの背景

この年(2014年)の末で10周年を迎えるのもありメンバーが「背水の陣」で臨んだ作品。
背水の陣と言ってもこれにメンバーの生活がかかってるとかこれが売れないと解散だとかそういうヤバい感じではなくて2、いつまでも現状維持では意味がない、いい加減に勝負作・代表作…「THE AVOIDED SUN」を超える「アルバム力」を持った作品を作らなくては!という、バンドのしての向上心の表れを感じる背水の陣。

  • 前作「EXODUS-EP」が出た時に、葉月はこれがDIR EN GREYで言えば「six Ugly」の位置にあるものとしていて、彼らの分岐点と言われる「VULGAR」は「six Ugly」なしには生まれなかった、つまり「EXODUS-EP」の後に『VULGERに相当する物』が待っていると語っていた。それがまさに「GALLOWS」である。3
  • 後にGALLOWSについてはこう語っている

  • 「I BELIEVE IN ME」が震災の影響、「INFERIORITY COMPLEX」が制作上の都合(ブックレットの誤記載)で2作続けて発売延期になっており、今作も制作期間がギリギリの上に歌録りを予定していた時期にインフルエンザが大流行し万が一感染したら発売延期と言われていた4が葉月の鉄壁の予防策で予定通り発売している。

タイトルと収録内容

GALLOWS=絞首台

  • lynch.の衣装も手がけるデザイナーの横澤嗣典5がGallowslineというブランドをやっていて、それを愛用していた葉月が名前の意味を調べたところこれは腹をくくった背水の陣感があってぴったりだとアルバムのキーワードとして採用。
  • 歌詞のテーマは一貫して「生と死」。2012年の末にPay money To my PainのボーカルKが急逝したことで葉月が生や死について深く考えるようになったためで、GALLOWSやPHOENIXの歌詞にそれが強く出ている。6
  • 13曲全曲が新曲。その前に発売されているシングル2曲が未収録なことについては

「BALLAD」と「LIGHTNING」を入れないの?と聞かれたけど、『EXODUS-EP』に入ってない時点でないでしょって。あれはあれで完結したものだから。

激ロック 2014年4月号掲載

  • SE込で13曲収録されているが後述の通りINTRODUCTIONは後から葉月が追加したため当初のリリース情報では新曲12曲収録予定となっていた。

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GALLOWS 曲解説&感想

わたしの中でGALLOWSって単語自体がずっとlynch.の代名詞状態なくらいインパクトあったしハマったアルバム。ダークで凶悪な曲を初っ端からこれでもかとぶちかましてくるのがlynch.でしょ!みたいな。途中でダレるところとか飛ばしたくなる曲がないしINTRODUCTIONから再生しても気づいたらあっという間に処刑されてて(不穏)全体的に聞いてて心地よい。

↓以降、曲別に解説と感想をまとめて。
最初に葉月の解説→補足→■以降の部分が個人の感想。
レア度は★5激レア~★1ド定番(星の数は完全にわたしの独断)

01 INTRODUCTION

INFERIORITY COMPLEXやEXODUS-EPでもSEを入れたいと思っていたが作る時間がなくて入れられず、今回こそはと葉月が最後に勝手に作って持っていったトラック。

■これを最後に足したことでアルバムが結果13曲という不吉な曲数になったのがすごい。
「GALLOWS」は盛大な13周年の記念公演のタイトルになったしこのINTRODUCTIONも(作り直したとはいえ)Trailer/LIVEのオープニングにも採用されて本当にlynch.の代名詞・代表曲になったなーという印象。

02 GALLOWS

究極の自問自答…"自分は死に向かって生きてる、じゃあどう生きるの?"7
「Resurrection」はK死去後に発売されたPTPのアルバム「gene」に葉月がゲストボーカルとして参加した曲。

■\ようこそ処刑台へ!イエーカモーン!/\あーゆーれいでー!/
初聞きでイントロからMARROWか!?と思ってしまったやつ。でも葉月有言実行だよこのイントロはやばい。
INTRODUCTION明けいきなり容赦なくボコボコにされる。最初から最後までほぼ頭振ってる。
この時期からの新たな代表作で現在でもライブの超定番曲だけどベストアルバムには未収録。

レア度★1

03 DEVIL

MVは丹修一氏が監督。

カポエラのシーンが入っているのは「回し蹴りをされる画が欲しかった」(!!)

"完全無双 no darling"は元はノータリンだったのがレコ倫に引っかかって書き直した物

MVに登場するのはカポエラ教室カポエィラ・テンポで講師を務めるカポエィラのお兄さんことカツオさん(cf→MV撮影についてのカツオさんのブログ記事)

アルバム発売前に限定ライブツアー『LIMITED 3 DAYS』(2014.02.15~)でGUILLOTINEと共に先に披露されている。

■唐突にカポエラのシーンが挿入されるlynch.史上屈指の謎MV。本人が語っていないのでそれ以上の理由はわからないけど個人的にこのMVのおかげでただの格闘技だと思ってたカポエラの成り立ちみたいなものを知るきっかけになった(詳しくはWikipediaへ←丸投げ)。それを頭に置いて考えるとなんか曲とリンクしてる気がし…なくもない…

レア度★2

04 GREED

仮タイトル「モンスター」

■\参ります!GREED!/
ライブの超定番曲でペチ男の誕生曲。この英語モドキの日本語詞が耳障りがよくてめっちゃすき。すきすぎて毎回やるとわかっていてもイントロできたきたきたー!となってしまう。至って真面目?なことを言ってるはずの部分の歌詞が一番いやらしく感じる。

レア度★1

05 ENVY

せっかく悠介が作ってきたのに葉月がめちゃくちゃにした曲(葉月談)。EXODUS-EPには(同じく悠介作曲の)BE STRONGとENVYと両方入れる案があったが作品のパンチ力が弱まってしまうのではと代わりにVANISHが入った。

■GREED(貪欲・強欲)とENVY(嫉妬)と七つの大罪が並んでて意味があるのかと思っていた(葉月はそれを後から知ったので偶然らしい)。

レア度★3.5

06 GUILLOTINE

仮タイトル「シャッフル」
「代々受け継がれてきた伝説のワード」はバーイヤイヤイってやつか。

アルバム発売前に限定ライブツアー『LIMITED 3 DAYS』(2014.02.15~)でDEVILと共に先に披露されている。

■どう聞いても最後のサビが「~ヤりまくれよ」にしか聞こえないので不安になっていたらブラトラ8のある回であさぬが同じことを葉月に言ったので安心した。でも葉月はちゃんとヤりまくれよと歌っているらしく謎。

レア度★3.5

07 MERCILESS

仮タイトル「FAST」
意味は「無慈悲、無情、残酷」

■AVANTGARDEでNEEDLEZとして生まれ変わるやつ(死んだわけではないが)。わたしがlynch.のLIVEで初めてサークル(後方で2人でやってた超小規模なやつ)を目撃した曲。

レア度★4.5

08 OBLIVION

意味は「忘却」

■lynch.らしからぬ単語が登場する別の意味でぶっ飛んだ曲。イントロのギターがたまらんしサビを自分で口ずさんでるだけで泣いてしまうしこのアルバムで一番すき(lynch.全体でもTOP3に入るレベルですき)。

レア度★4.5

09 BULLET

■こんな歌詞がlynch.から出てくるのかって思ったラスト。

葉月:この曲の歌詞は、歌録りの直前まで迷っていて。特に最後の1行は「あと1行だけ書くんでちょっと待って下さい」と言って、勢いで書いたものなんです。

●それが“つらぬけ ドタマかち割れ”っていう…。

JUNGLE★LIFE 2014年4月

この曲は「ためらいや不安は捨てて自分の信じた道を行くぞ(後半の英語詞部分)」的なことを言ってたり鴉の件とか「永久の弾丸」とか一見すごい良い歌詞に思えるけど、曲全体として何について歌ってるかは語っていないどころかサビを「暗号」と意味深な言い方をしているのが気になる(彼のことだから普通にかっこいい話なら意気揚々と語りそうなもんである)。英語詞の前半部分が不穏な内容かつ2回目には歌詞カードにないふぁっきゅーまで言っているし、過去の自分に対する苛立ち→でもここから生まれ変わっていくぜって話なのか、もしくは公に言えないような誰かへの恨み言のようにも思える(深読みしすぎか?)

レア度★4.5

10 MAD

「27歳では死にたくない」ってのはThe 27 Club(←またしてもwikipediaに丸投げ)

■TIAMAT枠(勝手に命名)。
サビがとても楽しいのでLIVEでもっとやってほしいんですけど…

レア度★4.5

11 TOMORROW

■ライブの方が映える、というか泣ける(葉月のインスタより動画 ある意味ネタバレになるので注意)。

レア度★4.5

12 RING

■まさに深海。lynch.の曲なのに綺麗すぎる(褒めてる)。
4:00AMは『(RYUICHIが)「TONIGHT」レコーディング後の声が枯れた状態で録った』という記述を昔wikipediaのLUNACYのページで見たことがあったので、葉月が「4:00AMみたいな曲」を「声が枯れている時を狙って録った」のを見てニヤニヤしてた。でもwikiのその記述いつの間にかなくなってるんだよねえ。まあ履歴確認したらずっと[要出典]ってなってたんだけど。

レア度★5

13 PHOENIX

アルバムの中で2番目にできた曲。「彼」は先述の通りPTPのK。

D.A.R.K.のMOONは当初このアルバムに収録されるはずだったがPHOENIXとの兼ね合いで見送られている

13階段を上りきった絞首台の上から見た景色のINTRODUCTIONで始まり、唐突に死がやってくるPHOENIXで終わるストーリーになっているけどこれも最初から狙って作ったわけではなく出来上がってから偶然にそうなったらしい。

レア度★3.5

映像作品
TOUR'14「TO THE GALLOWS」-ABSOLUTE XANADU-04.23 SHIBUYA-AX

DVD DATA
RELEASE:2014/09/10
BAND:lynch.
TITLE:
TOUR'14
「TO THE GALLOWS」-ABSOLUTE XANADU-04.23 SHIBUYA-AX
TYPE:初回限定版
CONTENTS:SPECIAL PACKAGE(OUTER SLEEVE CASE)/2DVD/48P PHOTO BOOK

DVD仕様

lynch.の映像作品では初めて複数形態で発売、副音声でメンバーの解説が入ったのもこれが最初。

  • 初回限定盤は特殊パッケージ仕様(フォトブックレットと紙製のスリーブケース付き)。映像は開演から完全ノーカット収録9なので某曲の入りでドラムの故障(←葉月の優しさ)でストップしてやり直すとこや本編終了後観客がアンコールを叫び続けているだけの場面も普通に収録されている(アンコール呼びかけが5分くらい続いたところでDISC1が終了)。
  • 通常盤はディレクターズカット版としてDVD1枚に編集したもの。曲は32曲全て収録されているけど副音声なし。

収録ライブ

GALLOWSツアースタート前の2014.04.23にSHIBUYA-AXで行われた「TO THE GALLOWS」-ABSOLUTE XANADU-公演の映像化。
ツアーのファイナルが映像化されることが多い中でGALLOWSは逆にツアーのプロローグ的ライブが映像化した珍しいパターン10
2014年5月末をもって閉館する葉月のお気に入りのハコSHIBUYA-AXで最後にどうしてもやりたかったとアルバムツアー前に急遽発表されたライブ。
タイトルの「ABSOLUTE XANADU」は「絶対的な桃源郷」みたいな感じの意味で頭文字を取るとAXになる。11

BE STRONG=雪12とか、PHOENIX=翼が生える玲央さん(奇跡)のイメージになったのはこの作品。

このライブではGALLOWSの収録曲が全曲披露されていないこと・全曲披露した本家のツアーは映像化されていないことからアルバム中盤のレア曲たちが現在に至るまで映像化されていない悲しい事態になっている。

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GALLOWS 思い出

  • TOUR'14 「TO THE GALLOWS」
    2014.05.18(SUN) @LIVE rise SHUNAN
  • TOUR'14 「TO THE GALLOWS」#2 -SHOUT AT THE DEVIL-13
    2014.10.11(SAT) @HIROSHIMA CLUB QUATTRO

lynch.のGALLOWS広島クアトロ公演のボード

lynch. SHOUT AT THE DEVILツアーのチケットとラバーバンド

  • #2は広島でのワンマンがナミキジャンクションからクアトロに昇格した最初のLIVE。広島の日は暴れられない体調だったので初めから逆最前を目指していたけどPAブースのある段から上は潰していて半分のスペースしかなかった。今ってもう潰してないんかな?
  • 初回生産分に入ってたハガキで応募するバックステージ招待は当選すると各会場3人ずつ開演前のフロアでそれぞれ自分の好きなlynch.の曲を目の前で演奏してもらえるというもので、どこの会場だったかは忘れたけどブラトラでその様子を放送していてめちゃ羨ましかった。わたしは当時からもし当たったらMARROWだなと妄想してたけど今ならVARIANTかOBLIVIONか…いややっぱりMARROWかな…(好きすぎ)

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関連リンク

lynch. official web site GALLOWS 紹介ページ

lynch. official web site TOUR'14「TO THE GALLOWS」-ABSOLUTE XANADU-04.23 SHIBUYA-AX 紹介ページ

脚注

  1. 再録アルバムも含めるとSINNERS-AKも1タイプのみ
  2. 当時のインタビューでは同じくカラスのアートワーク、タイトルの語感も似ている「SHADOWS」との関連性を聞かれることが多かった。それによるとSHADOWSの頃はわりとガチな「背水の陣」だったらしい
  3. MASSIVE Vol.11 68ページ
  4. ROCK AND READ 053 78ページ
  5. 葉月がプロデュースしているブランドURGEのデザインも手がける
  6. MASSIVE Vol.14 15ページ
  7. MASSIVE Vol.14 15ページ
  8. 諸事情で終了せざるを得なくなった、lynch.のメンバーにそっくりな釣りを愛する3人組による秘密結社The Black Triangleもしくは彼らによるニコニコ生放送の番組名。超復活希望
  9. 最初からノーカットでDVD収録されることは公表されていた
  10. ちなみに実際のツアーファイナルは目黒鹿鳴館での2days。あまりの暑さに初日はメンバーは死にかけフロアも人が倒れまくり、中断して水を配ったりして本編は何とかやり切ったもののこれ以上は危険だとアンコールなしで終了、メンバーもファンもとにかく生きて帰れて良かったと命の危機を感じるほどの地獄だったことで有名。2日目は万全の態勢で挑みライブ中に休憩時間を設けたりステージから水や飴が配布されるなどの配慮もあって無事にアンコールまで行われた。
  11. 本家SHIBUYA-AXのAXは運営していた日本テレビのコールサインJOAX-TVからつけられたもの
  12. 実際に降っていたのは泡らしい
  13. 通称(?)シャータラデボー

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